Bitwise、2036年にビットコイン160万ドル到達を予想
Bitwise がビットコインの長期見通しを公表しました。ベースケースは2036年までに1 BTC あたり160万ドル、年率34.3%の上昇です。レポートの数字、弱気・強気シナリオ、モデルの仕組み、著者自身が挙げるリスクを解説します。

2026年10月28日、Bitwise Asset Management はビットコインの10年見通しをまとめたレポート 2027 Bitcoin Long-Term Capital Market Assumptions を公表しました。最大の注目点は、ベースケースでビットコインが2036年に1,599,766ドル、つまり約160万ドルに達するという数字です。これは、2026年9月30日の価格83,557ドルから年平均34.3%の成長を続けた場合の水準にあたります。
1年前、Bitwise は2035年までに130万ドル、年率28.3%の上昇を見込んでいました。著者らは予測を引き上げた理由として、ビットコインが担う市場が拡大を続けていること、そしてビットコインの長期的な軌道に対する確信が強まったことを挙げています。
レポートを執筆したのは、最高投資責任者(CIO)の Matt Hougan、リサーチ責任者の Ryan Rasmussen、アナリストの Juan Leon、Josh Carlisle、Camran Khosravi です。全文は Bitwise のウェブサイトで PDF として公開されています。
以下の数字はすべてレポートからの引用です。Bitwise 自身も、評価の枠組みと目標価格はあくまで例示であり、将来の結果を保証するものではないと断っています。同社は暗号資産の上場取引型商品(ETP)を運用しているため、相場の上昇は同社の利益になります。本記事はニュースを伝えるものであり、投資助言ではありません。
主要な数字
| 2026〜2036年の想定 | Bitwise の予測 |
|---|---|
| 2036年の BTC 価格(ベースケース) | 1,599,766ドル |
| 年平均成長率(CAGR) | 34.3% |
| 平均ボラティリティ | 27.8% |
| 米国株との平均相関 | 0.43 |
| 機関投資家のポートフォリオに占めるビットコインの比率 | 1〜5% |
| 機関投資家からの資金流入 | 1.5兆〜7.4兆ドル |
Bitwise は、ビットコインが今後10年で最もパフォーマンスの高い主要資産になると同時に、最もボラティリティの高い資産にもなると予想しています。ただし、そのボラティリティは今後も低下していく見通しです。
3つのシナリオ:13万1000ドルから370万ドルまで
レポートにはベースケースのほか、弱気シナリオと強気シナリオも含まれています。Bitwise が軸に据えるのは、最も可能性が高いと考えるベースケースです。残りの2つは、予測にどれほどの不確実性があるかを示しています。
| シナリオ | 2036年の BTC 価格 | 年間成長率 |
|---|---|---|
| 弱気 | 130,686ドル | 4.6% |
| ベース | 1,599,766ドル | 34.3% |
| 強気 | 3,667,911ドル | 46.0% |
弱気シナリオでさえ、10年後の価格は現在を上回ります。このシナリオでは、ビットコインが獲得するのは価値保存市場の2.5%だけで、ほかの市場からは何も取り込みません。
Bitwise はどのように価格を導き出すのか
Bitwise は獲得可能な最大市場規模(TAM)モデルを使っています。ビットコインが担いうる各市場が2036年にどれだけの規模になり、ビットコインがそれぞれの市場でどの程度のシェアを獲得するかを推計し、その合計をビットコインの総供給量2100万枚で割ります。著者らはこれを保守的な前提だとしています。2036年までにすべてのコインが採掘されるわけではなく、相当な部分が失われていると想定されるためです。
| 市場 | 現在(兆ドル) | 年間成長率 | 2036年(兆ドル) | BTC のシェア:弱気/ベース/強気 |
|---|---|---|---|---|
| 機関投資家の投資資産 | 139.7 | 7.5% | 303.5 | 0% / 1% / 5% |
| 新興国通貨 | 64.7 | 8.5% | 146.1 | 0% / 1% / 2.5% |
| 価値保存手段(金、ビットコイン) | 31.1 | 14.1% | 109.8 | 2.5% / 25% / 50% |
| オフショア資産 | 13.0 | 3.0% | 19.0 | 0% / 5% / 10% |
| 国家の準備資産 | 14.2 | 2.3% | 18.1 | 0% / 2.5% / 5% |
| 米国企業の財務準備 | 5.4 | 5.0% | 8.9 | 0% / 2.5% / 5% |
| 世界の国際送金 | 0.7 | 5.2% | 1.3 | 0% / 2.5% / 5% |
結果のほぼすべてを左右しているのは、価値保存市場というたった1つの行です。私たちの計算では、ベースケースでビットコインに割り当てられる約33.6兆ドルのうち、27.5兆ドル(109.8兆ドルの25%)がこの市場によるものです。33.6兆ドルを2100万枚で割ると、1 BTC あたり160万ドルという数字が得られます。
Bitwise はこの市場を過去10年間の成長率で延長し、31兆ドルから110兆ドルに拡大すると見込んでいます。通貨価値の下落への懸念が強まれば、この推計はむしろ保守的だったと判明する可能性もある、と著者らは付け加えています。モデルの機関投資家資産は、機関がすでに保有する金の分として5%差し引かれており、BCG の推計147兆ドルではなく139.7兆ドルとなっています。
Bitwise が挙げる3つの成長要因
1. 機関投資家の需要。Boston Consulting Group によると、機関投資家が運用する資産は約147兆ドルにのぼります。この10年でポートフォリオの1〜5%をビットコインに振り向ければ、1.5兆〜7.4兆ドル分の BTC を購入する必要があります。一方、ネットワークが新たに生み出すビットコインは年間約140億ドル分にすぎません。米国の現物ビットコイン ETP は、上場から3年足らずですでに1080億ドルの資産を保有しており、2026年には大手ウェルスマネジメント・プラットフォームのいくつかがその取り扱いを承認しました。
2. 限られた供給。ビットコインが2100万枚を超えることはなく、すでに2010万枚(95.7%)が流通しています。ビットコインの年間インフレ率は現在0.8%です。固定された発行スケジュールにより、2028年には0.4%、2032年には0.2%に低下します。金のインフレ率は約2%です。需要がどれだけ増えても、金や石油とは違い、ビットコインが追加で生産されることはありません。
3. 法定通貨の価値下落。米国の連邦債務は40.2兆ドルに達し、その利払いは年間1.1兆ドルと、予算で3番目に大きい項目になっています。2026会計年度の財政赤字は2.0兆ドルで、GDP の6.2%に相当しました。Bitwise は、各国政府が自国通貨の価値を下げることで債務に対処すると予想しており、そうなれば金やビットコインのようなハードアセットへの需要が高まるとしています。
著者らは、すでにその兆候が表れていると見ています。
- 世界の外貨準備に占めるドルの比率は、1999年の71.0%から56.7%に低下した
- 中央銀行は2025年に過去最高となる960億ドル相当の金を購入した
- 米国を含む10カ国以上が、現在ビットコインを準備資産として保有している
ボラティリティ、相関、4年サイクル
ボラティリティ。モデルでは平均ボラティリティを27.8%としています。これは現在の水準と、Bitwise が2036年に想定する水準の中間値です。今後数年はこれより高く、期間の終盤には低くなる可能性が高いとしています。著者らはボラティリティが今後も低下すると見ていますが、そのペースはこれまでの半分になると予想しています。規制、カストディ、流動性をめぐる最大のリスクは、すでにおおむね解消されているためです。
相関。過去10年間のビットコインの平均相関は、米国株に対して0.25、債券に対して0.02、金に対して0.11でした。今後10年について、Bitwise は株式0.43、債券0.05、金0.21を想定しています。金との連動はすでに強まっており、2026年9月11日には90日相関が過去最高の0.58に達しました。
サイクル。ビットコインは歴史的に4年周期で推移してきました。直近のピークは2025年10月6日の126,080ドルで、その後2026年6月30日までに58,717ドルへと53.4%下落しました。この安値が維持されれば、ビットコイン史上最も浅いサイクル調整となります。過去のサイクルでは、価格は86%、84%、77%下落していました。Bitwise は、サイクルは弱まるものの、完全には消えないと予想しています。
ビットコインとその他の資産の比較
比較のため、Bitwise は JPMorgan、PGIM、BlackRock、Vanguard による伝統的資産の長期予測を平均しました。各社の予測期間は5年から10年とまちまちなので、比較はあくまで目安です。
| 資産 | 年間リターン | ボラティリティ | BTC との相関 |
|---|---|---|---|
| ビットコイン | 34.3% | 27.8% | — |
| プライベート・エクイティ | 10.8% | 22.0% | 0.39 |
| プライベート・クレジット | 8.1% | 11.8% | 0.30 |
| ヘッジファンド | 7.8% | 7.2% | 0.19 |
| 米国株 | 6.7% | 16.9% | 0.43 |
| 不動産 | 6.7% | 17.6% | 0.18 |
| 金 | 5.5% | 17.2% | 0.21 |
| 米国債券 | 5.0% | 5.3% | 0.05 |
| コモディティ | 4.9% | 16.4% | 0.02 |
ほかの予測との比較
Bitwise は自社の数字を、ほかのアナリストの予測と比べています。
- AllianceBernstein は、2033年までにビットコインが100万ドルを超えると予想
- Standard Chartered は、2030年までに50万ドルを超えると予想
- ARK Invest の強気シナリオは、2030年までに約120万ドル
- Strategy の Michael Saylor は、2046年までに2100万ドルという数字を挙げている
年率34.3%は、ビットコインがこれまでに記録してきた実績を大きく下回ります。過去10年の CAGR は63.5%でした。2020年初めから2026年9月30日までに、ビットコインは1,069%上昇し、ほかのどの主要資産よりも大きく値上がりしました。同じ期間の金の上昇率は174%でした。
著者らが挙げるリスク
Bitwise は、ビットコインのリターン、ボラティリティ、相関の予測は不確実で、誤りが生じやすいとはっきり述べています。同社が挙げる主なリスクは次のとおりです。
- 実績の短さ。ビットコインが取引所で取引されるようになったのは2010年、現物 ETP が登場したのは2024年にすぎず、モデル化に使えるデータは多くありません。
- 規制。現在の友好的な環境が続くとは限りません。2026年には、米国の重要な暗号資産法案である Clarity Act が議会で前進しませんでした。主な理由は、民主党がその倫理規定を弱すぎるとみなしたことです。
- 普及。機関投資家、企業、政府によるビットコインの購入は新しいトレンドであり、今後も続くとは限りません。
- テクノロジーと量子コンピューティング。量子コンピューティングの急速な進歩や、AI によって加速する数学上のブレークスルーが、ビットコインの暗号を脅かすおそれがあります。ネットワークは耐性のある暗号方式への移行を迫られ、保有者はコインを新しいアドレスに移す必要が出てくる可能性が高いとしています。
- その他のリスク:マクロ経済、取引、セルフカストディ。
実際には何を意味するのか
2026年10月29日時点で、Bybit のビットコイン価格は約8万ドルと、Bitwise が起点とした価格をやや下回っています。160万ドルに達するには、約20倍に上昇する必要があります。その価格なら1サトシは0.016ドルとなり、100ドルで買えるのは6,250サトシです。BTC とサトシの換算は当サイトのビットコイン単位コンバーターで、リアルタイムの価格とスプレッドの比較は Bybit の価格ページで行えます。
10年先の予測は約束ではありません。Bitwise 自身のモデルの中でさえ、1 BTC あたりの価格の幅は13万1000ドルから370万ドルに及びます。そして著者らが警告するように、ビットコインは依然としてサイクルに左右される資産であり、これらのどの数字に向かう過程でも、大幅な下落が起こりえます。
よくある質問
+Bitwise はビットコインについてどのような予測を出したのですか?
2026年10月28日に公表した「2027 Bitcoin Long-Term Capital Market Assumptions」で、Bitwise はベースケースとして2036年に1ビットコインあたり1,599,766ドル、つまり約160万ドルを見込んでいます。これは2026年9月30日の価格83,557ドルからの年平均成長率34.3%に相当します。
+レポートにはほかにどのようなシナリオがありますか?
2036年に1 BTC あたり130,686ドル(年率4.6%)とする弱気シナリオと、3,667,911ドル(年率46.0%)とする強気シナリオです。Bitwise はベースケースを主要な予測と位置づけており、残りの2つは予測の不確実性の大きさを示しています。
+なぜ予測は昨年より高くなったのですか?
1年前、Bitwise は2035年までに130万ドル、年率28.3%を見込んでいました。引き上げの理由として、ビットコインが担う市場、とりわけ価値保存市場と機関投資市場の拡大と、ビットコインの長期的な軌道に対する確信の高まりを挙げています。
+Bitwise のモデルは何に基づいていますか?
獲得可能な最大市場規模(TAM)の推計です。Bitwise は7つの市場の2036年の規模を予測し、それぞれにビットコインのシェアを割り当て、その合計を2100万 BTC で割ります。最も大きく寄与するのは価値保存市場で、ベースケースではビットコインが109.8兆ドルの25%を占めます。
+Bitwise はどのようなリスクを挙げていますか?
ビットコインの実績の短さ、規制の変化、機関投資家による導入の減速の可能性、そして技術的な脅威、とりわけ量子コンピューティングと AI による数学の進歩です。マクロ経済、取引、セルフカストディのリスクにも触れています。
+つまり、ビットコインは買いだということですか?
いいえ。これは1つの資産運用会社の予測であり、同社自身も目標価格は例示にすぎないとしています。ビットコインは依然として値動きの激しい資産であり、投資判断は大きな損失のリスクも踏まえたうえで、ご自身で行ってください。


